「妊娠高血圧症候群」の用語表記ならびに診断基準変更の変遷を表1に示す.
2005年4月に「妊娠中毒症」から「妊娠高血圧症候群」と診断基準ならびに日本語表記が大幅に変更となった.この際,英語表記も“pregnancy-induced hypertension(PIH)”となった.その後,2017年4月に「妊娠高血圧症候群」の英語表記が“hypertensive disorders of pregnancy(HDP)”へ変更になったが,診断基準ならびに日本語表記は変更されなかった.
2018年5月に「妊娠高血圧症候群」の診断基準が大幅に変更になった1).この際,日本語表記ならびに英語表記は変更されなかった.このように,この十数年の間に2回の診断基準変更が行われることになった.
今回のテーマ「妊娠高血圧症候群~どうして定義が変更になったのか~」は,産婦人科医のみならず内科医,助産師,看護師,コメディカルにも共通に抱く疑問であろう.今回の定義改定に日本妊娠高血圧学会(Japan Society for the Study of Hypertension in Pregnancy:JSSHP)の妊娠高血圧症候群定義・分類改訂委員会(委員長:高木健次郎先生,副委員長:中本 收先生,山崎峰夫先生,委員(五十音順):牛嶋順子先生,大口昭英先生,牧野真太郎現幹事長,松原圭一先生,味村和哉先生,森川 守,渡辺員支当時幹事長,オブザーバー:齋藤 滋当時理事長,関 博之現理事長)の委員の1人としてかかわらせていただいた.また,2017年4月に刊行された『産婦人科診療ガイドライン産科編2017』2)で「CQ309-1 妊婦健診で高血圧や蛋白尿を認めたら?」ならびに「CQ309-2 妊娠高血圧腎症と診断されたら?」を担当し,CQ309-1の解説の中で「Preeclampsiaの海外の定義変更の動向」と「2017年,英語表記のみ変更し,診断基準は変更を検討中であること」を記載した.
そこで,今回の定義ならびに診断基準変更の経緯などを知り得る範囲で述べる.なお,この原稿を読んで気分を害する方がいるかもしれないが,ご容赦いただきたい.