はじめに―インクレチンとは―
グルコースを経口投与すると,経静脈的に投与した場合に比較して,同程度の血糖上昇であってもはるかに高いインスリン分泌が得られる。この現象は,経口摂取に伴い消化管からのホルモンが血中に分泌され,膵β細胞に作用してインスリン分泌を促進することによる。このようなインスリン分泌促進作用を有する消化管ホルモンをインクレチンと呼び,食後インスリン分泌の50%以上を担っている。
インクレチンとしてはGLP-1(glucagon-like peptide-1)およびGIP(gastric inhibitory polypeptide)が知られている。GIPは上部小腸に多く存在するK細胞から分泌され,GLP-1は下部小腸・大腸を中心に存在するL細胞から分泌される。栄養素の摂取に伴い,GIPとGLP-1は血中に分泌され,血行性に膵β細胞上に存在するそれぞれの受容体に結合し作用を発揮する。膵β細胞以外にも多臓器にわたってGIP受容体・GLP-1受容体の発現が認められ,インクレチンはインスリン分泌増強作用だけでなく多くの生理的作用を有すると考えられている。本稿ではインクレチン分泌・作用のメカニズムについて概説する。
全文記事
インクレチン・レッスン
インクレチン分泌・作用のメカニズム
掲載誌
DIABETES UPDATE
Vol.1 No.1 32-37,
2012
著者名
山根俊介
/
稲垣 暢也
記事体裁
連載
/
全文記事
疾患領域
代謝・内分泌
/
糖尿病
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
腎臓内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
老年科
媒体
DIABETES UPDATE
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。