目からウロコ―水と電解質
第16回 現代の象皮病(リンパ浮腫):フィラリア感染症の教訓
掲載誌
Fluid Management Renaissance
Vol.5 No.2 90-91,
2015
著者名
石橋 賢一
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
腎臓
/
感染症
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
心臓血管外科
/
腎臓内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
Fluid Management Renaissance
フィラリア(線虫類)はイヌではよくある感染症で心臓に寄生しますが,ヒト寄生性のフィラリアはリンパ管やリンパ節に成虫が寄生するため,リンパ管閉塞や破裂から末梢部に組織液が滞留して浮腫,皮膚の結合組織が増殖した象皮病,陰嚢腫大などが起きます。フィラリアは日本でも江戸時代には全国的に分布し,たとえば西郷隆盛は陰嚢が人頭大だったといわれます。しかし,戦後沖縄県でのフィラリア撲滅作戦によって1988年に日本での根絶宣言が発表されました。これは国際的には稀有なことで,今でも世界81ヵ国で1億2,000万人も感染しています。フィラリアの雌は幼生(ミクロフィラリア)を1万匹産み,これが末梢毛細血管中に移行して蚊に吸引され,その蚊がほかのヒトを刺すことで伝染します。幼生は昼間はヒト肺毛細血管に潜んでいて,夜10時頃になると末梢血管に現れ夜が明けると肺に戻ることをくり返します。これは蚊の行動と同期しており,驚くべきことに時差ぼけにもならずに移動できる感知機構をもっています。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

