「ループ利尿薬の作用機序」浮腫性疾患の治療において,原疾患の治療に加えて利尿薬を適切に用いることは臨床上きわめて重要である。なかでもループ利尿薬は,その強力なNa利尿作用から浮腫の治療に最も頻用される薬剤である。ループ利尿薬はヘンレの太い上行脚に存在するNa+/K+/2Cl-共輸送体(NKCC2)の阻害作用によりその利尿効果を発揮し,最大有効量使用時には糸球体で濾過されたNaの25%程度までNaの再吸収を抑制できる(図1)。フロセミド,アゾセミド,トラセミド,ブメタニドなどが代表的な薬剤だが,薬剤間で利尿効果に大きな差はなく,現場ではフロセミドが用いられることが多い。ループ利尿薬はその大部分(98%以上)が蛋白と結合しており,糸球体からは濾過されずに近位尿細管において尿細管腔に分泌される(図2)1)。ループ利尿薬の作用は用量依存性で,その作用部位への到達量に依存している。高用量までは直線的な用量-効果関係にあり,増量によって効果が増強するが,ある一定の用量以上では効果はプラトーに達し,それ以上の利尿効果は発揮しない。この限界用量を最大有効量(maximum effective dose)と呼ぶ。
・論点/佐々木成
・ループ利尿薬増量の立場から/賴建光
・多剤併用の立場から/猪又孝元
・論点/佐々木成
・ループ利尿薬増量の立場から/賴建光
・多剤併用の立場から/猪又孝元