浮腫とは,組織間隔に生理的な代償能力を超えて過剰な水分が貯留した状態と定義され,体表面から腫脹してみえる状態をさす1)。浮腫の発生には,静脈圧,蛋白質,透過性,麻痺,下垂が関与する。また,全身性浮腫は腎性浮腫,心性浮腫,肝性浮腫,内分泌性浮腫,栄養障害性浮腫,薬剤性浮腫,特発性浮腫に,また局所性浮腫は静脈性浮腫,リンパ性浮腫,炎症性浮腫,血管神経性浮腫などに分類される2)。静脈還流障害による浮腫を静脈性浮腫といい,高齢者の浮腫の原因で最も多い。静脈性浮腫は深部静脈血栓に伴う急性のものと,慢性静脈不全により発生する慢性のものとに区別される。
「静脈性浮腫の病態生理3)」深部静脈血栓では下肢の主幹静脈に血栓による急性の閉塞が起こり,末梢の静脈圧が上昇して静脈側毛細管の透過性が高まるために蛋白漏出をきたし,その結果,細胞間液の静脈側毛細管への移動が妨げられる。初期には余剰の細胞間液はリンパ管によって還流されるが,やがてリンパ管による運搬では代償しえなくなり浮腫が発生する。