Column コラム
剣闘士をめぐる骨の話
掲載誌
O.li.v.e.―骨代謝と生活習慣病の連関―
Vol.2 No.3 48-49,
2012
著者名
本村凌二
記事体裁
抄録
疾患領域
その他
診療科目
その他
媒体
O.li.v.e.―骨代謝と生活習慣病の連関―
ローマ帝国には名高い「パンとサーカス」があった. パンは穀物であり, 民衆がその配給にあずかる. サーカスは戦車競走のコースを指すが, 民衆を楽しませた見世物娯楽を意味する. なかでも, 剣闘士の見世物は帝国の各地で催され, 300近い数の常設の円形闘技場の痕跡が残っている. のちにパクス・ローマーナ(ローマの平和)と讃えられた繁栄の時代に, なぜ流血の殺人競技が人々の関心を集めたのか. この史上唯一の公認殺人競技はそれだけで興味深いテーマである. ところで, 男性達のみが, 命を賭けて勇ましく戦う剣闘士に心を熱くしたわけではない. 女性達にとっても, 剣闘士には熱い眼差しを注がずにはいられなかった. 彼らは娘達の心をときめかせ, 虜にした. 少女たちは, 憧れの切ない声援を送るのである. ポンペイの落書きは語る. 「娘達のため息であるトラキア闘士ケラドゥス」「娘達の人気者であるトラキア闘士ケラドゥス」「網闘士クレスケンスは少女たちの癒し手」「網闘士クレスケンスは少女たちの御主人様」剣闘士に憧れたのは若い女性達ばかりではない.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

