サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV)は幼少期に感染し,その後は潜伏感染の形態をとるが,重篤な感染症を起こすことはほぼない。免疫不全患者においてはCMVが再活性化することで感染症を引き起こし,重篤・致死的となり得る。血液内科領域では,同種造血幹細胞移植患者でCMV感染症がしばしば問題となる。近年,同種移植患者におけるCMV感染症予防薬としてレテルモビルが使用可能となった。CMV陽性HIV患者では,CMVが腸内に持続感染し,腸管上皮の機能障害が起こるが,レテルモビルがこれを防ぐことが⽰唆された。HIV患者においてもレテルモビルが有用であると考える。
「KEY WORDS」レテルモビル,サイトメガロウイルス,HIV,hematopoietic stem cell transplantation