新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの対応のために,多くの保健所等でHIV検査件数は激減した。したがって,保健所等に依存しない検査法の拡大が急務である。一方,近年HIV郵送検査の需要が高まってきている。しかし郵送検査で用いる濾紙血を検体とする検査試薬は承認されていなかった。われわれの検討では,濾紙血を用いたルミパルス®HIV Ag/Abは高い再現性と安定性があり,濾紙血は臨床検体として十分信頼できると考えられた。しかし,抽出過程で希釈が起こるため検出感度が低下する。このため,カットオフ値を≧0.5とする必要がある。今後,濾紙血による郵送検査はスクリーニング検査としての実績を重ねる必要があるが,その利用の拡大が期待される。
「KEY WORDS」HIV郵送検査,濾紙血,感度,薬事承認