「A」口腔内灼熱症候群と非定型歯痛は,口腔顔面部における代表的な特発性疼痛である.現在,国際頭痛分類第3版beta版(ICHD-3β)1)や日本口腔顔面痛学会2)3)で用いられている名称,またそれらの旧称など,さまざまな用語が存在しているため,これらを表にまとめる.両者ともに患者の9割が女性であり,痛みは覚醒中ほぼ途切れることなく持続する.基本的に除外診断であるが,器質的異常がある疾患との大きな鑑別点は「食事中は痛みが改善する」点にある.このため食事に支障を来すことはまれである.
「口腔内灼熱症候群(Burning mouth syndrome;BMS)/舌痛症」器質的異常が認められないにもかかわらず,舌,頬粘膜,口蓋,歯肉などの広範囲の口腔粘膜に灼熱性疼痛を訴える疾患で,痛みは通常軽度~中等度である.痛みが舌のみに限局しているものを特に「舌痛症(glossodynia)」と呼称する.平均発症年齢は67歳4).カンジダ症や扁平苔癬などの局所疾患,貧血などの全身性疾患で生じる,二次性舌痛症との鑑別が必要である1)3)5).