サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV)がヒトに感染しても,通常,健常人では重篤な疾病を起こさない。しかし,妊娠中にCMVの初感染を起こすと,約4割に胎児感染を引き起こす。胎児感染例の85〜90%は出生時に症状のない無症候性であるが,10〜15%は出生時から肝機能障害,出血症状,網膜脈絡膜炎,聴性脳幹反応異常などの症状を呈し(症候性先天性CMV感染症),そのほとんどの症例が難聴,てんかん,精神運動発達遅滞などの重篤な神経学的後障害をきたす1)。最近,この症候性先天性CMV感染症児の予後の改善を目指した取り組みが検討されている。
本稿では,われわれの最近の臨床研究の成果を含め,先天性CMV感染症の診断・治療と新生児尿スクリーニングについて述べる。
「KEY WORDS」先天性サイトメガロウイルス感染症,バルガンシクロビル,新生児尿スクリーニング,早期診断早期治療