「はじめに」パーキンソン病(PD)の発症原因はいまだ完全には解明されていない。遺伝的な要因は10~30%程度あるが1),その他の発症リスクとして外因性の何らかの曝露についてさまざまな要因が推定されている。また,発症抑制因子についても多くの疫学的検討がある。これまでの研究から,PD発症を抑制する因子として喫煙やカフェイン摂取が知られ,多くのコホート研究でも一致した見解となっている2)。しかし,エストロゲンがPD発症に対してどのような影響を与えるかについては,一定の見解に達していない。PD罹患率には性差があり,欧米では女性よりも男性に多く発症する。そのため,女性ホルモンがPD発症リスクを予防する,ないしは神経保護的な作用を有すると推定され,in vitro,in vivoで数多くの研究がなされてきた2)-13)。性ホルモンは脂溶性で分子量が小さいので,血液脳関門を通過しやすく,中枢への影響が認められる。In vitroでエストロゲンは抗炎症作用,抗アポトーシス効果,抗酸化効果を有しており,黒質線条体のドパミンニューロンに保護的に作用するとされる4)。
本企画は問題点をよりクローズアップすることを目的としており,このテーマに対して,あえて一方の見地に立った場合の議論であって,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。
・「Yes」の立場から/皆川栄子
・「No」の立場から/西川典子
本企画は問題点をよりクローズアップすることを目的としており,このテーマに対して,あえて一方の見地に立った場合の議論であって,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。
・「Yes」の立場から/皆川栄子
・「No」の立場から/西川典子