「はじめに」L-ドパはパーキンソン病(PD)治療の中心となる薬物であるが, 長期投与により運動合併症を呈するのが最大の問題である. 代表的な運動合併症であるL-ドパ誘発性ジスキネジア(LID)は発症メカニズムに不明な点が多いが, 近年のPDモデル動物を用いた実験結果から様々なメカニズムが提唱され, PD患者に対する薬物治療にも応用されてきている. 本稿では主に動物実験や脳機能画像の知見から得られたLIDの発症メカニズム, ヒトのPDにおける薬物治療の効果について説明する.
「L-ドパ誘発性ジスキネジアとは」L-ドパ誘発性ジスキネジア(LID)はPD進行期で症状の変動が明らかになる時期にみられるようになり, L-ドパ治療4~6年後に36%程度の患者で生じると考えられている1). LIDは発症様式からL-ドパ血中濃度が高い時期に発症するpeak-doseジスキネジアとL-ドパ血中濃度の上昇期と下降期に二相性に発症するdiphasicジスキネジアとoff時のジストニアの3つが知られている(図1).
「L-ドパ誘発性ジスキネジアとは」L-ドパ誘発性ジスキネジア(LID)はPD進行期で症状の変動が明らかになる時期にみられるようになり, L-ドパ治療4~6年後に36%程度の患者で生じると考えられている1). LIDは発症様式からL-ドパ血中濃度が高い時期に発症するpeak-doseジスキネジアとL-ドパ血中濃度の上昇期と下降期に二相性に発症するdiphasicジスキネジアとoff時のジストニアの3つが知られている(図1).