分子イメージングは,生体内において生命活動を分子・細胞レベルで解析・定量化する手法であり,侵襲度が低く感度の高い光学的分子イメージング技術は消化器内視鏡領域とは親和性が高く,一部では臨床導入も進められている。分子プローブとイメージングモダリティの発展に伴い,その適応は当初検討課題であった腫瘍性病変の検出や診断から,分子標的薬を用いた腫瘍や炎症性腸疾患の治療効果の予測,さらには感染症診断にまで広がっている。診断のみならず,分子イメージング技術を応用した治療も開発されている。すでに,人体に無害な近赤外光の照射によって細胞障害作用を生じる光感受性物質を用いた分子標的癌治療の臨床試験が進行中である。内視鏡への応用も検討されており,化学療法よりもはるかに選択性の高い,革新的低侵襲治療技術として期待が寄せられている。
「KEY WORDS」分子イメージング,molecular imaging,内視鏡,共焦点内視鏡,confocal laser endomicroscopy