はじめに  Wadaテストは内頚動脈アモバルビタール法とも呼ばれるものであり,言語優位半球の同定を可能にする有力な検査法として,1948年にJuhn Wada(和田淳)博士により開発された.この翌年,雑誌『医学生物学』に発表された論文1)はすぐ英訳され,Wadaテストが世界中で実施されるようになった.その後,言語機能のみならず記憶機能検査においても使用されるようになり,今日に至っている2,3).てんかん外科における手術前検査としては,言語,記憶機能の評価だけではなく,てんかん原性領域の側方性の同定4)や,術後発作転帰の予測5)など,多様な脳機能検査に威力を発揮してきた.