はじめに  てんかんは,「種々の病因によってもたらされる慢性の脳疾患」1)であり,脳の病変に基づく多様な疾患や障害が合併する可能性がある.てんかんの子ども(以下,てんかん児)のなかには,脳の器質的・機能的障害に基づく発達障害を伴うものが少なからず存在する.発達障害は,DSM-Ⅲ-R 2)では精神遅滞,広汎性発達障害,特異的発達障害と分類されたが,DSM-Ⅳ-TR 3)ではその括りははずされている.発達障害者支援法(平成16年12月10日法律第167号)では,発達障害を「自閉症,アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害,学習障害,注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢に発現するもの」として位置付けている.そこで,本稿では発達障害に精神遅滞,広汎性発達障害(pervasive developmental disorders;PDD),学習障害(learning disorders;LD),注意欠如/多動性障害(attention-deficit/hyperactive disorders;AD/HD)を含めて論じる.てんかん児の発達障害の合併率は,精神遅滞が17%,PDDが15~37%,AD/HDが14~ 40%と報告されている.LDは17~48%といった挿話的な報告があるのみで,まとまった報告はほとんどない4).