糖尿病の診療をしていると,飲酒機会の頻度と血糖コントロールの関係には明確な関係があるように感じられる。わが国において,合併症予防のための血糖コントロール目標とされるHbA1c7%未満の達成率は,年末に近づくにつれて低下し,1〜3月の時期がもっとも低い1)。患者自身も忘年会や新年会,送別会などの影響と解釈しがちなこの現象は,おそらく社会的要因だけでない生理学的季節変動の関与が推定されているが,2020年春の新型コロナウイルス感染拡大で会食や宴席の機会が激減したことに伴い,身体活動量減少の悪影響以上に血糖コントロールが改善しているケースは,中高年男性を中心にしばしば経験するところである。
しかし,会食や宴席の悪影響は,お酒そのものに咎があるというよりも,食事由来のエネルギー摂取過剰が直接の原因であって,アルコール自体が糖代謝に与える影響は,直観的な印象に反し,必ずしも常に血糖値上昇に働くわけではない。本稿では疫学的な知見や,国内外の糖尿病診療ガイドラインにおける位置付けを確認し,現在のコンセンサスを解説する。
「KEY WORDS」U字カーブ,インスリン感受性,性差,ALDH2,低血糖