プロバイオティクスの概念の起源は100年前に遡るとされる。20世紀のはじめにMetchnikoffは,その「不老長寿説」のなかでLactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricusを含んでいるヨーグルトを摂取すると,腸内にLactobacillus菌叢ができ,腐敗菌の増殖を抑え自家中毒を防ぐことができると主張した。Wikipediaでは,プロバイオティクス(Probiotics)とは,人体に良い影響を与える微生物(善玉菌),または,それらを含む製品,食品のことと定義されている。わが国では,プロバイオティクス製品,食品は広く受け入れられ,アンケート調査では国民の4割強がヨーグルトを含むプロバイオティクス製品を毎日摂取している現状がある。摂取した外来のLactobacillusBifidobacteriumがヒトの腸内で生残し,定着することはかなり困難であると考えられているが,これまでのプロバイオティクスによる整腸作用に加えて,最近では,生活習慣病,アレルギー,免疫,脳機能への作用が注目されつつある。抗加齢医学の領域では,Bifidobacterium(LKM512株)がマウスの寿命を延長させること(PLoS One. 2011),早老症マウスに健常マウスの糞便を移植すると健康寿命が延長すること(Nat Med. 2019)なども報告され,代謝物も含めた新たな研究が始まろうとしている領域でもある。