「規則正しい生活をしましょう!」「早寝早起きで元気な毎日を!」。このような規則正しい生活習慣を啓蒙する標語は広く流布され,私たちの生活に空気のように馴染んできた。このことは,昔から規則正しい生活が心身の健康によいことを私たちは経験的に知っていたことを示すものである。概日リズムがさまざまな生理機能と密接な関係にあることは周知の事実であり,さらに概日リズムを生み出す体内時計(概日時計)の分子メカニズムはこの30年の間に大きく解明が進み,2017年にはノーベル医学生理学賞が贈られるに至った。一方で,体内時計のメカニズムの理解が大きく進んだ現在においても,近年,グローバル化に伴う24時間社会が抱える健康課題に対し,上述のような昔ながらの標語を繰り返す以上に有効な対策が提示できているとはいえない。増え続ける交代制勤務(シフトワーク)従事者は,労働者人口の約2割に迫る1,000万人以上にのぼり,また,夜中でも光に満ち溢れている街や,スマホやタブレットなどの普及で夜中まで明るい画面を見ていることも,今や当たり前となっている。このような現代社会のなかで,本来,地球の自転周期へのチューニング機構として進化してきた「体内時計」が生み出す概日リズムと生活リズムのミスマッチが,さまざまな健康問題や疾患リスクの上昇につながっており,その病態のメカニズムの解明が待たれている。
「KEY WORDS」概日リズム,シフトワーク動物モデル,マウスコホート研究,概日リズム障害,ライフスタイル健康医学