「はじめに」哺乳類における主要な男性ホルモンはテストステロンであり,テストステロン合成を担うのは精巣の間質に存在するライディッヒ細胞である。胎盤をもつ妊娠期間の長い哺乳類では,性決定の直後から精巣内にライディッヒ細胞が分化し,男性ホルモンの分泌を介して,胎仔の外生殖器や脳の雄化を誘導する。興味深いことに,胎仔期のライディッヒ細胞は一旦消失し,思春期に至ると再度新たなライディッヒ細胞が分化し,二次性徴や精子の成熟を促すと考えられている。本稿では,胎仔期と出生後のライディッヒ細胞の機能を,主にテストステロン合成経路の違いという観点から紹介する。また,近年報告された新たな男性ホルモン産生経路であるバックドア経路とその生物学的重要性に関しても述べる。
「Key Words」精巣,胎仔型ライディッヒ細胞,成獣型ライディッヒ細胞,男性ホルモン,テストステロン