「肝臓の老化とは?」肝臓を鍛える!といっても,何をもって鍛えるか,答えに窮するところです。その答えを探るべく,いろいろと考えてみましょう。まず,肝臓の老化とは何かを考えてみましょう。肝臓は年齢を重ねるに従い,細胞数が少なくなり全体の重量が減少し,その代わりに一つ一つの細胞の大きさが大きくなることが報告されています。重量の減少は,20歳から80歳までに男性で40%,女性で30%との記載もみられます(図1)1)。肝臓の細胞は,腸から吸収された栄養分を取り込み,細胞内で代謝して身体に必要な物質に変換する役割も重要です。その一つに,腸から吸収されたアミノ酸を元に,身体に必要なアルブミンというタンパク質を作る作業があります。一つ一つの細胞に備わる機能が驚くほど高まることはほとんどみられません。45%も減った重量に見合った細胞機能の増加は見込まれませんから,高齢になって肝細胞数が減ると,血中アルブミン値が低下する現象がみられます。

肝臓を鍛える?鍛えない?/坪田一男
・肝臓は鍛えたほうがよい/齋藤英胤
肝臓は鍛えないほうがよい/米井嘉一 ほか