今回は,この難しいお題に齋藤英胤先生と米井嘉一先生がうまく答えてくれた。肝臓を鍛えるというと,すぐに“お酒を飲んで肝臓を鍛えよう!”となる。確かに,お酒の弱い人がお酒を飲むことで“お酒に強くなる”状態が生まれることもある。アルコールなど代謝の主たる臓器は肝臓だから,肝臓の中のアルコール脱水素酵素などが誘導されて“肝臓が鍛えられる”ということになるのだろう。しかし今回,齋藤先生もアルコールを飲んで肝臓を鍛えることは賛同していない。肝臓にとってプラスになるように,よい脂質を摂って,腸を大切にし,運動を継続するということを提案している。全くそのとおりだと思う。一方,米井先生は“肝臓は鍛えずに,そっとしておくほうがいい”という立場だ。これもそのとおりの気がするが,すべての臓器は“廃用性萎縮”というシステムがあり,筋肉でも使わないと萎縮してしまうように,ある程度の負荷は必要と思う。なので,お二人の権威の先生の意見と違ってしまうが,僕個人としては,アルコールを飲んで(シャンパン好きだからしょうがない)肝臓を少し鍛えるようにしたいと思ったのでした。

・肝臓を鍛える?鍛えない?/坪田一男
肝臓は鍛えたほうがよい/齋藤英胤
肝臓は鍛えないほうがよい/米井嘉一 ほか