「はじめに」口腔ケアが誤嚥性肺炎を予防することは広く知られている1)。肺炎は現在,日本人の死因第3位であり,ほとんどが高齢者で占められている。80歳以上では肺炎の90%は誤嚥性肺炎であることから,口腔ケアは高齢者の肺炎を予防するという臨床上意義がある。さらに今後,認知症が増え,将来,日本人の医療介護の最も大きな位置を占めると予想されていることから,口腔ケアが認知症にどのように作用するのかは,次の高齢者医療における問題である2)。これまで,筆者らが知る限り,口腔ケア介入が認知症を予防できたとする報告は,短期の介入試験で効果があると示唆されているので,これを中心に解説する。
「口腔ケアによる介入試験」Kikutaniら3)は,アルツハイマー病患者を口腔ケア群(n=24)と非口腔ケア群(n=27)の2群に分けて6ヵ月間観察した。認知機能をMini-Mental State Examination(MMSE)で調べたところ,3ヵ月と6ヵ月後に有意に認知機能の低下を予防できたとする報告を出している(図1)3)。
「Key Words」口腔ケア,サブスタンスP,βアミロイド蛋白,認知機能,アルツハイマー病