「はじめに」歯の発生は,口腔上皮の陥入に始まり,その周囲に集積してきた頭部神経堤細胞との相互作用により形成される。この頭部神経堤細胞は,最終的には歯髄の中において,その一部は歯髄幹細胞として存在し,維持される。口腔上皮の陥入がどのように制御されているかはいまだ不明であり,他の組織と同様に,それぞれの組織に特異的な転写因子の存在が示唆されてきた。そこで本稿では,再生医療の細胞ソースとして着目されている歯髄幹細胞と,歯の発生に必須であることがわかってきた新規転写因子エピプロフィンについて紹介する。
「歯の発生」歯の発生は,まず口腔上皮の肥厚に始まり,肥厚した上皮が陥入する。この貫入した上皮細胞の周囲に,頭部神経堤細胞が集積し,間葉細胞化することで,上皮─間葉相互作用による歯胚の形成が進む(図1)。ヒトの永久歯(6歳臼歯:第1大臼歯)においては,まず歯胚形成が胎児期に行われ,石灰化の開始がちょうど出生時であり,歯の上半分(歯冠)の完成が3歳,歯が生えるのが6歳,歯の下半分(歯根)が完成するのが9歳なので,永久歯は約10年近くかけて形成されることになる。
「Key Words」歯原性上皮,上皮─間葉相互作用,歯髄幹細胞,エピプロフィン