「はじめに」不安や恐怖は,脅威を感じるような状況で生じる通常の情動である。不安症では,こうした反応が過剰かつ長期間持続するために,日常生活に支障をきたす。不安症は精神疾患の中でも最も一般的であり,厚生労働省の2011年の報告では不安症・ストレス関連疾患の年間総患者数は約60万人と非常に多い(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/10-20.html)。また,不安症の診断概念は,1980年代以降のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM)1)やInternational Classification of Disease(ICD)2)において「神経症」から「神経症性障害」「不安障害」,2013年発刊のDSM-5 3)からは「不安症」へと変遷してきた。本稿では,不安症(パニック症,広場恐怖症,限局性恐怖症,社交不安症,全般不安症,強迫症,心的外傷後ストレス障害)の有病率や長期経過,併存症,寿命との関係などについて概説する。
「Key Words」不安症,有病率,併存症,経過,寿命,視床下部―下垂体―副腎皮質系