Trigeminal Trophic Syndrome(TTS)とは,三叉神経領域の感覚異常を原因として起こる自傷により慢性潰瘍を呈する疾患である.1901年にWallenbergによって最初に報告され,1933年にLovemanとMcKenzieによる2つの独立した論文に初めて登場した1)

顔面潰瘍は,三叉神経第2枝領域に多く発生するとされ,そのなかでも1枝と2枝の境界にあたる鼻翼部に多く発生する2).そのほかには,頭皮・前額部・耳・口蓋・顎といった部位にも生じる.また,眼瞼や眼角部にも生じ,角膜病変が18%に合併したとの報告があり,注意が必要である3)