壊血病は,歴史的に古くから知られているビタミンC欠乏症による栄養障害である.先進国ではまれとされているが,驚くべきことに孤発例はいまだ報告されている1)-4).筆者の施設でも,最近2年のあいだに5例の成人壊血病を経験した.本稿では,そのうちの2例を詳細に報告する.この病気の診断は,医師が壊血病を疑うか否かにかかっている.自験例の情報共有により,壊血病に対する理解を深めるとともに,本症例の診断における視診の重要性を強調したい.