椛島 かゆみのメカニズムの解明は,近年急速に進み,かゆみに対する治療薬の開発を介して,かゆみのコントロールの重要性も明らかになってきました.本日は,研究者としての先生方の個人的なプロフィールも含めまして,かゆみ研究のいまとこれからについて,いろいろとお話をうかがえればと考えています.
まず室田先生から,先生がアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)を専門に選ばれた経緯や,かゆみの研究を続けられてきた理由などについて聞かせてください.
室田 私がかゆみの研究を始めたきっかけは,当時,大阪大学皮膚科学で師事していた片山一朗先生に勧められたからなのですが,当初はあまり面白いとは感じていませんでした.どうしても病気と関連づけて,狭い範囲でかゆみを捉えていたからなのですが,和歌山医科大学第2解剖学(当時)の仙波恵美子先生の「皮膚を搔く行動は皮膚の表面に付いた寄生虫などの脅威を引き離す行為であり,かゆみは正常な皮膚に備わった基本的な生体防御反応である」という趣旨の講演を聞いて,目から鱗がポロポロと落ちました.そして寄生虫免疫に関わるTh2信号がかゆみを引き起こしやすいのは,生物学的に効率が良い反応であると気付いてから,がぜんかゆみの研究が面白くなってきました.そこから,とくにTh2反応の強いADに注目して研究を始めました.
椛島 ありがとうございます.免疫学者のイメージが強い岡田先生は,どのような経緯でかゆみ研究を始められたのでしょうか.
岡田 私はもともと工学部で化学を専攻していたのですが,分子生物学への憧れが強く,日本の分子生物学の草分けである京都大学の沼正作先生に師事された,生理学研究所(当時)の井本敬二先生,森 泰生先生の門を叩き,分子生物学のイロハを教えていただきました.2021年のノーベル生理学医学賞はtransient receptor potential(TRP)チャネルの研究者が受賞しましたが,当時はTRPチャネル研究の黎明期に当たっており,私もその研究に携わっていました.
その後,免疫学に移ったのですが,いつかはTRPチャネルを発現する神経の研究にも立ち返りたいと思っており,とくに免疫と神経をつなぐような仕事をしたいと考えていました.TRPチャネルは全身でさまざまな役割を果たしていますが,かゆみの伝達にも重要と考えられています.個人的なことですが,学生時代の友人がADで大変な思いをしていたことが強く印象に残っており,これらのことが合わさって,ADのかゆみの研究を行うことを決めるに至りました.さらに,そういったことを考えていた折に,慶應義塾大学皮膚科学教室の天谷雅行先生が,理化学研究所にもチームを立ち上げられ,天谷先生とかゆみの研究の重要性について意気投合したことも大きな要因のひとつでした.
まず室田先生から,先生がアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)を専門に選ばれた経緯や,かゆみの研究を続けられてきた理由などについて聞かせてください.
室田 私がかゆみの研究を始めたきっかけは,当時,大阪大学皮膚科学で師事していた片山一朗先生に勧められたからなのですが,当初はあまり面白いとは感じていませんでした.どうしても病気と関連づけて,狭い範囲でかゆみを捉えていたからなのですが,和歌山医科大学第2解剖学(当時)の仙波恵美子先生の「皮膚を搔く行動は皮膚の表面に付いた寄生虫などの脅威を引き離す行為であり,かゆみは正常な皮膚に備わった基本的な生体防御反応である」という趣旨の講演を聞いて,目から鱗がポロポロと落ちました.そして寄生虫免疫に関わるTh2信号がかゆみを引き起こしやすいのは,生物学的に効率が良い反応であると気付いてから,がぜんかゆみの研究が面白くなってきました.そこから,とくにTh2反応の強いADに注目して研究を始めました.
椛島 ありがとうございます.免疫学者のイメージが強い岡田先生は,どのような経緯でかゆみ研究を始められたのでしょうか.
岡田 私はもともと工学部で化学を専攻していたのですが,分子生物学への憧れが強く,日本の分子生物学の草分けである京都大学の沼正作先生に師事された,生理学研究所(当時)の井本敬二先生,森 泰生先生の門を叩き,分子生物学のイロハを教えていただきました.2021年のノーベル生理学医学賞はtransient receptor potential(TRP)チャネルの研究者が受賞しましたが,当時はTRPチャネル研究の黎明期に当たっており,私もその研究に携わっていました.
その後,免疫学に移ったのですが,いつかはTRPチャネルを発現する神経の研究にも立ち返りたいと思っており,とくに免疫と神経をつなぐような仕事をしたいと考えていました.TRPチャネルは全身でさまざまな役割を果たしていますが,かゆみの伝達にも重要と考えられています.個人的なことですが,学生時代の友人がADで大変な思いをしていたことが強く印象に残っており,これらのことが合わさって,ADのかゆみの研究を行うことを決めるに至りました.さらに,そういったことを考えていた折に,慶應義塾大学皮膚科学教室の天谷雅行先生が,理化学研究所にもチームを立ち上げられ,天谷先生とかゆみの研究の重要性について意気投合したことも大きな要因のひとつでした.

