当教室の川村らが最初に報告したacute diffuse and total alopecia of female scalp(ADTAFS)は,びまん性型ともいうべき全頭型脱毛の特殊型である1).ADTAFSの特徴はその臨床経過にあり,突然に急速進行する全頭のびまん性脱毛を生じ,発症後数カ月で全頭脱毛に至る.脱毛完了と同時に新しい毛が生え始め,発症から4~10カ月で全頭での発毛からショートヘアの状態まで回復する.その後,この特殊な病型の存在は海外からも報告され,少ないながら男性例もみられることからacute diffuse and total alopecia(ADTA)と呼ばれることが多くなった2,3).引用文献1-3)をまとめると,発症時の平均年齢は30歳前後で,女性に優位,円形脱毛症の既往はなく,同症の家族歴はある場合もない場合もあり,全頭脱毛までの期間は約3カ月,毛が生えそろうまでの期間は5~6カ月である.病理組織像では病初期に著明な好酸球浸潤が認められることが多いとした川村らの報告に対して,以後の報告例では,通常の円形脱毛症と同様の所見または著明な組織学的色素失調が挙げられている.そのほかにも,初期に感嘆符毛がみられないことがある,頭皮にかゆみや痛みを感じることがある,末梢血好酸球増多がみられることがある,脱落毛はdystrophic anagen hairであるという特徴がある.