アトピー性皮膚炎(AD)は,アレルギーマーチの起点となることが指摘されるようになったが,アレルゲン曝露低減によるAD発症予防策は良い結果を残せていなかった.そのなかで,新生児期からの保湿剤定期塗布によるAD発症予防は有意な効果を示した.さらに,前額部の経皮水分蒸散量(TEWL)がADの発症を予測し,TEWL高値群(=皮膚バリア機能低値を示唆)に対して保湿剤定期塗布が奏効することが示された.一方,ダブルスイッチ数理モデルにより,繰り返される皮膚炎症が非可逆的な病状へとつながり,ADが発症・増悪することが示され,皮膚炎症を早期に予測するバイオマーカーが必要とされている.ADは多様な病態が混在した疾患であり,保湿剤の定期塗布によるバリア機能保護のみでは予防困難な群も存在すると考えられ,アレルギーマーチの進展予防にはさらなる研究が必要である.
「KEY WORDS」保湿剤,スキンケア,アトピー性皮膚炎発症予防,経皮水分蒸散量(TEWL),プロアクティブ療法