「Summary」インクレチン関連薬(ジペプチジルペプチダーゼ(DPP)-4阻害薬, グルカゴン様ペプチド(GLP)-1受容体作動薬)が本邦で上市され3年が経過し, 糖尿病の治療を大きく変えつつある. インクレチン関連薬の大きな特徴として, 血糖依存性にインスリン分泌を促進する点, 単独で使用した場合に低血糖リスクの少ない点, 体重増加をきたしにくい点(GLP-1受容体作動薬では体重減少が期待される)などが挙げられる. また, インスリン初期分泌障害を主体とする日本人2型糖尿病に適した薬剤として, 他の民族と比してより有効であることも明らかとされている. さらに, 基礎的研究からインクレチン関連薬の膵外作用にも注目が集まり, 大規模臨床試験の結果が待たれる. 「はじめに」糖尿病とは, インスリン作用不足によって生じる慢性の高血糖を主徴とする代謝症候群である. インスリン作用の不足とは, 膵β細胞からのインスリン分泌障害と末梢組織(肝臓・筋肉・脂肪)におけるインスリン抵抗性の増大を意味しており, 特に2型糖尿病ではこの2つの障害が種々の程度で混在しているため, 治療はこの2つの障害をいかにして改善させるかという方針のもと進められる.