小児に多い耳鼻咽喉科疾患
耳領域 滲出性中耳炎
掲載誌
鼻アレルギーフロンティア
Vol.24 No.2 28-32,
2024
著者名
有本 友季子
記事体裁
抄録
疾患領域
耳鼻科疾患
診療科目
耳鼻咽喉科
媒体
鼻アレルギーフロンティア
滲出性中耳炎は、小児に多い耳鼻咽喉科疾患のなかでも頻度が高い。特に、鼻炎症状を呈して耳鼻咽喉科を受診する幼児から学童に多い。滲出性中耳炎は急性中耳炎と異なり、発熱や耳痛を伴わず、軽度から中等度の伝音難聴を生じ得るが、耳閉感程度のこともあり、自分から訴える小児は少ない印象である。聞こえづらさについても、一側の場合や両耳でも軽度の場合は保護者が気付いていないことも多い。鼻汁、鼻閉やいびきの症状で受診した際に耳鼻咽喉科医が鼓膜所見を確認し、初めて滲出性中耳炎の指摘を受けたと話す保護者も多い。幼児期から学童早期は滲出性中耳炎に罹患しやすい時期であるが、同時に言語発達が著しく学習でも重要な時期であり、滲出性中耳炎が長期間遷延することの影響は成人に比べて大きい。滲出性中耳炎に気付かずに経過している症例や治療が奏効しない症例のなかには、癒着性中耳炎や後天性真珠腫に進展してしまう例もあり注意が必要である(図1)。本稿では小児が罹患しやすい滲出性中耳炎について、これまでの知見を整理しアレルギー性鼻炎との関連についても考察する。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

