2023年のスギ・ヒノキ花粉は、東京都や大阪府では過去3年間で最も多い累計飛散数が観測されるなど、大量飛散のシーズンとなりました。花粉症患者の有病率は年々増加しており、いまや国民の4割超が花粉症とされます1)。生活の質(QOL)の低下に加え、医療費への影響、労働生産性の損失など、花粉症が国民生活・経済に及ぼす甚大な影響が明らかとなるなか、政府は2023年に関係閣僚会議を開き、10年先を見据えた包括的な花粉症対策の策定に乗り出しました。本稿では花粉症診療のエキスパートにお集まりいただき、2023年の花粉症シーズンの振り返りと2024年の見通しについてお話しいただくとともに、『鼻アレルギー診療ガイドライン』最新版の改訂ポイントのほか、花粉-食物アレルギー症候群(pollen-food allergy syndrome:PFAS)や舌下免疫療法、抗IgE抗体療法に関する最新の話題、さらに国を挙げた花粉症対策への期待や課題についてご討議いただきました。