難聴者の補聴器装用の必要性が指摘されている。近年の高齢化に伴いわが国では高齢難聴者が急増しているが、国際アルツハイマー病協会世界会議によると難聴は認知症の大きな危険因子とされ、難聴に対する医学的介入が医学的のみならず社会的にも問題となっている(図1)1)2)。高齢者の難聴の原因とされる加齢性難聴をはじめとする慢性感音難聴には有効な治療薬はなく、医学的介入としては補聴器適合が中心となる3)。本稿では、最近発表された補聴器に関する多国間比較調査であるJapanTrak 20224)を紹介し、わが国の補聴器購入助成制度とその問題点について概説する。