鼻出血患者は耳鼻咽喉科外来だけでなく、夜間救急外来も受診する。好発年齢は2~10歳、50~80歳と二峰性である1)。鼻出血は一次性、二次性に分類される。一次性の多くは特発性で前兆なく自然に出血するものである。環境要因が寄与していることが多い2)。本邦は冬から春にかけて、大気の乾燥により鼻粘膜も乾燥し、出血しやすい環境になる。また同時期はスギ花粉症シーズンでもあることから頻回の鼻かみや鼻いじり、くしゃみなどの機械的刺激による鼻出血も増える時期である。そのため、適切な花粉症治療は鼻出血予防にとって非常に重要である。二次性の鼻出血は鼻副鼻腔腫瘍や遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病)などの遺伝性疾患、外傷、術後出血、抗凝固薬の使用が原因とされる。持続する鼻出血ではこれらの可能性を考慮する必要がある。
本稿では、鼻出血の好発部位と対応に関して記述する。

