2019年に日本口腔・咽頭科学会で行われた「味覚障害診療に関する全国調査」において、1990年や2003年に行われた調査より味覚障害受診者数は増加していた。また年齢が上がるとともに受診者数は多くなり、70歳代で最も多くなった1)。当科における性別、年齢階級別の味覚障害受診患者数のデータも全国調査結果と類似するものであり(図1)、受診者数は高齢者に多いといえる。高齢者は、長期にわたる慢性疾患や多種類の内服薬、消化機能の低下、オーラルフレイル、また中枢機能の変化、老人性うつなど、味覚異常を起こすリスクが高い。受診者数は女性の方が多く、この性差は日常で料理をする機会が多く、味付けの際に気付いたり、家族から味付けの変化を指摘されたりすることで早期段階でも自覚しやすいためと考えられている1)