スギ・ヒノキ花粉症2023

スギ花粉症に対しては、花粉飛散開始と同時に薬物療法を開始する初期療法により、症状の重症化を防ぐ効果が期待されています。適切な時期に治療を開始するには、地域によって異なる花粉の飛散状況を観測することが不可欠であり、飛散予測についても各地でさまざまな検討が行われています。また、近年は、花粉飛散数の増加に伴い、スギ花粉症の有病率の上昇が報告されています。小児においては花粉症発症の低年齢化が進み、大部分は改善することなく成人へ移行します。高齢者でも自然寛解は一部に限られ、有病率は上昇傾向にあります。そこで今回は、花粉飛散状況や疫学データを基に花粉症治療・予防をより効果的に展開すべく、花粉飛散観測や疫学調査などの実地研究に取り組むとともに、アレルギー性鼻炎の診療に第一線で携わっておられる先生方に、近年の花粉飛散傾向や飛散予測の現状と課題、年齢層別の有病率の推移、治療の実際、さらには花粉症の1次・2次予防を含む次世代の花粉症診療の展望についてご討議いただきました。