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【精神病理学的視点からみた統合失調症】
妄想知覚の発現機序仮説について
掲載誌
Schizophrenia Frontier
Vol.10 No.2 19-23,
2009
著者名
大東祥孝
記事体裁
特集
/
症例
/
全文記事
疾患領域
精神疾患
診療科目
精神科
媒体
Schizophrenia Frontier
「要約」 妄想知覚の発現を考察するため, 外傷後精神病性障害(Psychotic Disorder Following Traumatic Brain Injury;PDFTBI)の概念に触れ, それに相当すると思われる自験例を示した. 頭部外傷後4~5年を経て被害的幻覚妄想状態の出現がみられ, 主たる病変部位が側頭極であることを指摘した. 当該症例に表情認知強度評定課題を施行した結果, 負の方向への認知バイアスを確認した. 側頭極の損傷が, 視覚・聴覚などの知覚の終末と扁桃体との結合を離断し, 扁桃体が孤立して混乱を生じうることや, 側頭極に想定されている「こころの理論」機能の一部の障害が持続することによって, 他者理解における負のバイアスが次第に増幅され, ついには妄想知覚の発現に至る可能性を示唆した. 外傷から発症までに数年のインターバルが存在することの理由や意義についても, 側頭極損傷との関連において説明を試みた. PDFTBIが, 妄想知覚の神経心理学的説明仮説に寄与しうる可能性について論じた.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

