口腔粘膜は,採取の簡便さから顎口腔領域の新たな細胞供給源として注目されている。口腔粘膜は,骨の裏打ちのある咀嚼粘膜(歯肉,歯槽粘膜および口蓋粘膜),裏打ちのない被覆粘膜(口唇粘膜,頬粘膜,口腔前提および口底粘膜)および舌背部の特殊粘膜に分類される。これらの組織は,比較的大きな組織欠損においても早期に治癒する再生能力の高い組織である。解剖学的には,表層から重層扁平上皮層,粘膜固有層,粘膜下組織により構成されている。
当初,口腔粘膜由来間葉系細胞が間葉系幹細胞の特性を保持していることが報告されたが,実は神経堤幹細胞としての特性も保持していることが報告された1)-11)。Xuらは,神経堤をトレースできるWnt1-Cre;R26R トランスジェニックマウスを用いて歯肉由来のコロニー形成細胞の実に約90%が神経堤由来であることを見い出した12)。しかしながら,ヒトでは本実験手法を用いた解析を行うことができない。
神経堤幹細胞に関しては,げっ歯類およびヒトにおいて皮膚,骨髄,歯髄からNeurosphere培養法を用いて単離されている13)-19)。Neurosphere 培養法は非常に簡便に神経堤幹細胞の単離法であると同時に一つの表現型となっている。しかしながら,本手法を用いてヒト口腔粘膜間質細胞を詳細に検討した報告はなかった。
そこで,我々は口腔外科処置の際に採取されたヒト口腔粘膜組織を用いてこれらに関して検討を行い,ヒト口腔粘膜由来の神経堤幹細胞様細胞の単離に成功した。本稿では本研究内容について解説するとともに,再生医療への有用性ならびに問題点に関して議論する。
「KEY WORDS」口腔粘膜,Neurosphere 培養,神経堤幹細胞,細胞分化
当初,口腔粘膜由来間葉系細胞が間葉系幹細胞の特性を保持していることが報告されたが,実は神経堤幹細胞としての特性も保持していることが報告された1)-11)。Xuらは,神経堤をトレースできるWnt1-Cre;R26R トランスジェニックマウスを用いて歯肉由来のコロニー形成細胞の実に約90%が神経堤由来であることを見い出した12)。しかしながら,ヒトでは本実験手法を用いた解析を行うことができない。
神経堤幹細胞に関しては,げっ歯類およびヒトにおいて皮膚,骨髄,歯髄からNeurosphere培養法を用いて単離されている13)-19)。Neurosphere 培養法は非常に簡便に神経堤幹細胞の単離法であると同時に一つの表現型となっている。しかしながら,本手法を用いてヒト口腔粘膜間質細胞を詳細に検討した報告はなかった。
そこで,我々は口腔外科処置の際に採取されたヒト口腔粘膜組織を用いてこれらに関して検討を行い,ヒト口腔粘膜由来の神経堤幹細胞様細胞の単離に成功した。本稿では本研究内容について解説するとともに,再生医療への有用性ならびに問題点に関して議論する。
「KEY WORDS」口腔粘膜,Neurosphere 培養,神経堤幹細胞,細胞分化

