ここ数年,インフルエンザワクチンの有効率に関する論文や学会発表が多くみられる.ワクチンの有効率と接種率に関して興味深い内容の文献を見つけたのでここに紹介したい.米国イェール大学公衆衛生大学院のPratha Sah氏らは,2017/2018年シーズンのワクチンの有効率は例年より低く,H3N2型に対する有効率は25%と推定されるが,有効率がさらに低かったとしてもワクチン接種によって数万人の生命が救われるだろうと指摘している1).コンピューターモデリングで分析した結果,インフルエンザワクチンを接種しなかった場合は全米で7,700万人の感染者,47万人の入院患者および13万人の死亡者が予想される.2012/2013年~2016/2017年の5シーズン中に接種されたインフルエンザワクチン平均接種量は1億4千万回分で,接種率に換算すると43%だった.もし,ワクチンの有効率がわずか20%であっても,43%の接種率があれば,2,100万人の感染者,12万人の入院患者および6.2万人の死亡者が予想された.すなわち接種しなかった場合に比較して感染者数は3分の1,入院患者数は4分の1,死亡者数は2分の1に減少することが見込まれた.また接種率を43から50%に上げれば,インフルエンザの感染者をさらに360万人減らし,入院患者をさらに2.2万人減らし,死亡者をさらに8,400人以上減らすことができると推測された.
ワクチンの有効率が40%の場合,接種率が40から20%に低下するとインフルエンザによる死亡者は4万人増加すると推測された.一方,接種率が40%の場合,ワクチンの有効率が40から20%に低下してもインフルエンザによる死亡者は2.8万人の増加に留まる.このことから,Pratha Sah氏らは,インフルエンザから人々の生命を守るためには,ワクチンの有効率よりも接種率を上げることが重要であると示唆されたと述べている1).
ワクチンの有効率が40%の場合,接種率が40から20%に低下するとインフルエンザによる死亡者は4万人増加すると推測された.一方,接種率が40%の場合,ワクチンの有効率が40から20%に低下してもインフルエンザによる死亡者は2.8万人の増加に留まる.このことから,Pratha Sah氏らは,インフルエンザから人々の生命を守るためには,ワクチンの有効率よりも接種率を上げることが重要であると示唆されたと述べている1).

