流出路再建術系の低侵襲緑内障手術(MIGS)に加えて,濾過手術系のMIGSも行われるようになった.加えて,種々の薬剤や選択的レーザー線維柱帯形成術の登場により,初期~中期の緑内障に対する治療の選択肢が多彩となっている.進行した緑内障に対しては,トラベクレクトミーに加えてチューブシャント手術を行うことで眼圧のコントロールができる機会が増えている.一方で,限られた症例ではあるが,これらの手術に抵抗性の緑内障も存在する.そのような“難治”緑内障に対して,房水産生抑制による眼圧下降を図る術式である,経強膜的毛様体光凝固術(TSCP)が考慮されてきた.しかしながら,TSCPでは,組織透過性が高い810nmダイオードレーザーを用いた場合でも,眼外から照射されたレーザーエネルギーの3分の2が毛様体色素上皮に至るまでの,虹彩実質や血管などの中間組織に吸収される1).そのため,組織破壊が大きく,安全性に問題がある.加えて,治療の予測性にも劣るため,有効な視機能が残存する緑内障への適応は困難である.そのような,難治緑内障に対しても有効性と安全性のバランスが取れた治療法として,グリーンレーザーを光源とする専用カテーテル(MTレーザーファイバカテーテル,ファイバーテック社)を用いた内視鏡的毛様体光凝固(ECP)装置が開発され,2022年から臨床使用できるようになっている(表1).光源として波長の短い532nmグリーンレーザーを用いているため,海外で承認されているダイオードレーザーECPと比較しても,より選択的な毛様体上皮の凝固が可能であると考えられる.
New Information of Glaucoma
内視鏡を用いた毛様体光凝固術(グリーンレーザーECP)
掲載誌
Frontiers in Glaucoma
No.69 37-41,
2025
著者名
谷戸 正樹
記事体裁
抄録
/
連載
疾患領域
眼疾患
診療科目
眼科
媒体
Frontiers in Glaucoma
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。