悪性緑内障は「chronic aqueous misdirection syndrome」とも呼ばれる疾患です1).Von Graefeが1869年に,緑内障に対する虹彩切除術が存在するのに発症する原発閉塞隅角緑内障(primary angle closure glaucoma:PACG)を発見し,治療に難渋したために「悪性緑内障」と命名されました.毛様体襞部で産生された房水は本来,チン小帯の隙間,後房,虹彩と水晶体の間を通り,前房から主に線維柱帯,シュレム管,集合管から上強膜静脈に流出するとされています.しかし,悪性緑内障(chronic aqueous misdirection syndrome)では読んで字のごとく,房水が毛様体襞部で産生されたのち,後房に移行せずに硝子体腔へ流入していきます.房水が硝子体後方に流入すると硝子体の前方偏位が生じて,毛様体と水晶体囊,チン小帯に前部硝子体膜が押しつけられ,房水の前房への移動がブロックされます.さらに水晶体,チン小帯,虹彩の前方偏位を引き起こし,閉塞隅角からの眼圧上昇をきたします(図1).
Glaucoma Q&A
悪性緑内障とはどんな病気ですか?診断や治療法についても教えてください.
掲載誌
Frontiers in Glaucoma
No.62 64-67,
2021
著者名
結城 賢弥
記事体裁
連載
/
Q&Aシリーズ
/
抄録
疾患領域
眼疾患
診療科目
眼科
媒体
Frontiers in Glaucoma
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。