「Summary」再生医療が期待される分野として,これまで治療困難と言われてきた臓器線維症が挙げられる。なかでも肝線維症数は最多であり,その線維化を引き起こす中心にいるのが肝星細胞と考えられ,同細胞を標的としたさまざまな治療がこれまで試みられてきた。しかし,実際に臨床応用まで進んでいる治療はごくわずかであるという現状がある。一方,膵線維症に対する研究は肝線維症に追随して行われていることが多いが,膵においても線維化の中心を担う細胞が膵星細胞であることから,星細胞を標的とした線維症治療について期待が寄せられるところである。これまで肝および膵の両臓器における線維症治療について行われてきた研究を,星細胞を標的としたものを中心に紹介する。また,HSP47の抑制と星細胞選択的Drug Delivery Systemの開発により画期的な線維症治療薬の開発がなされつつあり,同薬の作用機序について報告する。