はじめに  プロテインキナーゼC (protein kinase C:PKC)は蛋白質の特定配列中に存在するセリンまたはスレオニン残基をリン酸化するプロテインキナーゼであり,さまざまな細胞内シグナル伝達系を制御している。研究の歴史は古く,1977年に神戸大学の西塚泰美らが初めて報告して以来,膨大な数の論文が発表されている。単なる脂質分子と考えられていたジアシルグリセロール(diacylglycerol:DAG)が細胞内シグナル伝達に関与することを明らかにした初期の研究1)は,当時世界に大きな驚きを与えた。近年も,癌におけるPKCの役割についてさらに詳細な検討が行われている。本稿ではPKCを理解する一助として,これまでに明らかにされてきた分子的・生理的性質を簡単に紹介したい。