子宮内膜は女性生殖器のなかで最も多くの免疫細胞から構成される。子宮内膜局所における免疫は,病原微生物から母体を防御する一方で,胚を受け入れるための分化を促す相反する機能を有している。免疫細胞の多くは性ステロイドホルモン受容体を発現していないが,月経周期・妊娠期におけるホルモンの変動とともに,子宮内膜での動態と機能を変化させている。子宮内膜は,その構成細胞により発現されるシグナルを介して相互作用し分化する。本稿では,子宮内膜免疫細胞の動態と機能の変化を述べるとともに,われわれが明らかにしてきた免疫細胞を制御する局所シグナルを発現する間質細胞の転写制御機構について述べる。