ヒトの不妊症は,先進国を中心に世界中で深刻な社会問題となっている。事実,このような背景をもとに,わが国では2022年度から体外受精を含む高度生殖補助医療技術(assisted reproductive technology;ART)に対する保険適用が開始されている。ARTの改良・開発は進んではいるものの,それらの技術によって作出された受精卵(胚)を移植した際の妊娠率は20〜35%とされており1)-3),さらなる妊娠率の向上のためには,妊娠を支える母体側の環境についてより理解する必要がある。現在でもヒトの生体試料を用いた解析には多くのハードルがあることから,生殖機能の解析,とりわけ母体と胎児との最初のコンタクトである胚着床の機構の解明には,(遺伝子改変)マウスをモデルとした動物個体の解析が重要な位置を占め,これまでに多くの重要な因子が同定されている。本稿では,胚着床の機構について理解を深めるため,遺伝子改変マウスの作製や解析例を中心に,これまでに明らかになったメカニズムについて概説する。
目で見る遺伝子改変マウスによる生殖機能解析
―遺伝子改変マウスを用いた胚着床メカニズム―
掲載誌
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
Vol.30 No.3 4-8,
2023
著者名
寺川 純平
/
中村 さくら
/
伊藤 潤哉
記事体裁
抄録
/
連載
疾患領域
代謝・内分泌
診療科目
産婦人科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。