重症心不全の最終的な治療法は心臓移植だが,現状では深刻なドナー不足により汎用性の高い治療法としての普及は困難であり,移植待機期間の長期化により左室補助人工心臓による感染症や脳血栓などのリスクが上昇する。このような状況を打開するため,新しい治療法の開発が急務であり,再生医療への期待が高まっている。本稿では,これまでの筋芽細胞シートのトランスレーショナルリサーチ,iPS細胞由来心筋細胞シートを用いた心不全治療の試み,さらに疾患特異的iPS細胞に関して紹介し,再生医療技術を用いた新しい心不全治療を概説する。