ミトコンドリアは細胞内のエネルギー供給器官であり,独自のDNAと核ゲノム上の遺伝子の働きで恒常性が維持されている。そのため,先天的・後天的にミトコンドリアDNAやミトコンドリア関連遺伝子の突然変異が存在するとミトコンドリアの機能不全が引き起こされ,ミトコンドリア病を発症する。ミトコンドリアは全身の細胞に存在し,体重の約10%をも占めるため,ミトコンドリア病に対する内科的・外科的根治法はまだ確立されておらず,生命を脅かす重度の症状に対しても対症療法が主となっている。加えて遺伝形式も複雑であり,周産期的再発予測も不十分であることから,全身に対する遺伝子治療や受精卵に対する遺伝子治療が治療法として注目されている。本稿ではミトコンドリアDNA,ミトコンドリア遺伝子異常とその遺伝子治療の最近の知見について俯瞰する。
特集 受精と胚発生をめぐる話題
ミトコンドリア遺伝子異常とその治療
掲載誌
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
Vol.29 No.1 37-42,
2022
著者名
葉山 智工
記事体裁
抄録
/
特集
疾患領域
代謝・内分泌
診療科目
糖尿病・代謝・内分泌科
/
産婦人科
媒体
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
Key Words
ミトコンドリア病,ミトコンドリアDNA,ミトコンドリア補充療法,ミトコンドリアDNAゲノム編集,ミトコンドリアDNAベースエディター
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。