性腺ホルモンは栄養代謝機能に対して影響を及ぼすことが知られている。女性において,エストロゲンは摂食量や脂肪量を低下させるなど,栄養代謝機能に対して良好な作用を及ぼす。一方,性成熟期の女性において,アンドロゲンは摂食量や脂肪量を増加させ栄養代謝疾患の発症リスクを高めるが,閉経後においてこれらの作用は減弱する1)-3)。また,男性においてアンドロゲンは栄養代謝機能に対して良好な作用を及ぼす1)。このようにアンドロゲンの栄養代謝に対する作用には性差および年代差が認められるが,その機序についてはいまだ完全には解明されていない。これに関して,これまでは主にアンドロゲンの至適濃度に着目した検討が行われてきた4)。一方,われわれはエストロゲンとアンドロゲンの相互作用という観点からこれらの機序の解明を試みている5)-7)