精子凍結保存の歴史は,1953年にBungeらが精子凍結保存技術を用いて人工授精を行ったのが始まりとされている1)。近年は不妊治療の普及により人工授精や顕微授精を行う目的で精子を凍結保存することが増えており,男性の妊孕性温存のための精子凍結保存はより重要な方法と位置づけられている。医学的適応による精子凍結保存は,性腺毒性をもつ化学療法を要するがん患者に対して一般的に施行されてきたが,男性の妊孕性温存の適応は自己免疫疾患などの非がん疾患を含めて拡大してきている2)。ヘルスケアプロバイダー(医師,看護師,臨床心理士,薬剤師,ソーシャルワーカーなど)が非がん疾患患者の妊孕性温存の必要性を認識することは,患者に適切なカウンセリングと正しい情報に基づいた妊孕性温存のための機会を提供することに繋がるため重要である。このような機会を患者に提供するには,妊孕性温存について多領域かつ多職種のヘルスケアプロバイダーが情報を共有する必要があり,その一助として日本がん・生殖医療学会認定ナビゲーターおよびがん・生殖医療専門心理士の資格が整備されている3)4)。
ホルモンQ&A
Q1 妊孕性温存を要する非がん疾患について教えてください(男性)/Q2 妊孕性温存を要する非がん疾患について教えてください(女性)
掲載誌
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
Vol.28 No.2 79-82,
2021
著者名
小野 政徳
記事体裁
Q&Aシリーズ
/
抄録
/
連載
疾患領域
代謝・内分泌
/
癌
診療科目
産婦人科
/
腫瘍内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。