子宮筋腫は女性に生じる最も頻度の高い腫瘍の1つである。良性腫瘍ではあるものの,過多月経や月経痛に加えて不妊の原因となるなど,臨床的に重要な疾患であることはいうまでもない。近年の次世代シーケンシング(NGS)を用いた腫瘍のゲノム学的研究の進歩は目覚ましいものがあり,癌などの悪性腫瘍にとどまらず,種々の良性腫瘍の背景遺伝子異常が同定されてきた。子宮筋腫に関しては,2011年にMED12遺伝子の変異が報告され,以降,エビデンスの蓄積が進んでいる。本稿では子宮筋腫についてゲノム病理学的観点から概説する。